第31話 バレンタイン

バレンタイン
お客さんは
コロンあります
主治医(仮)
穏やかな時間
ふりかえってみて

立春の頃、お見舞いで頂いたバレンタイン用のチョコを放射線科のくどさん、しまさんに渡してもらうよう、せいさんに頼みました。(配膳や検査室まで連れて行ってくれる立場の方にどこまで頼めるのでしょうか?)

数日後、くどさんとしまさんが816号室に!驚きました!!

カップは20年ほど持っていましたが、欠けてしまい処分。
レモンの香りのオーデコロン。

女の子と認められたようで嬉しい気持ちと同時に「16歳ならまだコロンでいいんじゃない」と、言いながら資生堂を選ぶ所にコロンはとうに卒業し、濃度の高いオードトワレを使用している大人の女性、その横にしまさんという光景が瞬時に浮かびました。(完璧な妄想)

そのコロンはまだ棚の奥にあります。

35年も経ちフレッシュから熟成された香りに変化しているかもしれませんが、数年に1度、肝試しのように香りを確かめずにはいられません。

しまさんは「惚れ惚れと眺める存在」という人でした。連載にはきっと書くことはありませんが成人後まさかの主治医(仮)と再会し16歳の直感通りと確信。

ナベさん、コノさんとは少しだけ穏やかな時間を共有します。

第30話 ひとくんのこと

ひとくんのこと
そのまま
新 研修医
2010年頃 某日
新研修医の現在
ふりかえってみて

1987年春、両親は未知の治療に賭けていました。

なのでひとくんのお姉さんから電話があった時、咄嗟に娘に死を意識させたくない、ひとくんの死を知られる訳にいかない、それしか考えられない状況でした。

この頃、血液疾患で退院していく患者さんは次の治療まで自宅で過ごすという意味で本当の退院ではなく、挨拶を交わしていたのにいつの間にか退院、急に部屋が変わったという聞かされていた患者さんは、自分の身近な範囲では皆亡くなっていたと後々知ることになります。

2月になり、ひろ先生から新しい研修医に変わり後はマンガに描いてある通りこういった形で再び巡り合い、変わらず朗らかなうたえもん先生、(大森うたえもんという芸人似)待合室の温かい雰囲気から地域に愛されるクリニックだと感じました。

ー追記ー

振り返りを書き終えた今、ラジオから「ジェームス ディーンのように」とても懐かしい曲が流れて驚いている最中です。

ひとくんが憧れの俳優。ジェームスディーンのレターセットで手紙を書いていました。

第29話 夜の音

夜の音
2月
叫
移る
午後
ふりかえってみて

夜の小さな雑音が怖い。足音、カラカラと点滴棒を引く滑車の音、洗面所にある洗濯機の稼働音。

離れた所の音がどんどん迫ってくる感覚で布団を被り耳を塞ぎ動悸に耐える。

原因は、復学など少し先の事すら予測できない不安が夜になると現れると自己判断。

ある夜、いつものように頭から布団を被っていると、ひとくんの叫び声。

普段、他の部屋の患者の声が聞こえてくることはなく一気に騒々しくなり、人の行き交う足音、ガラガラとベッドかストレッチャー音が響き数分後には何もなかったように静かな向こう側。

翌日看護師さんからひとくんが転院したと聞き、手紙を書きます。いつからか夜の音は怖くなくなりました。

第28話 占っても占っても

すがっても
ふと
器材室にて
占っても占っても
遠くへ
ふりかえってみて

来年開業のため大学病院を退職すると聞き、当時はまさ先生でないと病気を治してもらえないと信じていたので、顔を合わせるたび辞めないでと切願。

みさちゃんは都内の高校に通うキラキラ女子高校生。楽しい高校の話を聞くたび、どこか避けていたコレカラノコトに焦りの気持ちが湧き起こります。

車椅子や点滴棒など置いてある器材室で少し先に見える高校のグランドを眺めていると、まさ先生が何か察したのか外泊に。

自宅に戻ると入院前と変わらぬ自室に更に強い焦燥感に駆られ、意味のないトランプ占いで気を紛らわせようとしてもこのグッズ欲しさのために買いに行った時のドーナッツ屋の路地の匂い、そのころは健康だったことを回想し、誰1人これまでの自分を知らない所でやり直ししたいと思い始めます。

時には誰とも心を通わせず半ば空想のような考えを巡らせる時間が生きる上で必要でした。

先日まさ先生から電話がありました。当時のことはよく覚えていないけれど、

「教授なんてクソくらえ」と言ったかも、それはあり得る。と確認取れました!たけ先生は開業医となり評判の良い医師になられたそうです。

※まさ先生は「脳の中のシュークリーム」のセイウチ先生になります。

第27話 午後のひととき

カッコよすぎ
毎日かっこいい
副作用で
中止
病院やめるって
ふりかえってみて

放射線技師のしまさん、ある映画のスクリーンから出てきたと思うくらいこんなカッコいい人が、日も当たらない地下の放射線科にいるなんてお宝発見!

名も知らぬ他校の気になる男子学生と毎朝同じバスで会いチラチラ見るそんなトキメキに似ています。

そんな午後の至福の放射線治療は長く続かず、副作用による吐き気などで治療が中止。カリウム不足で立つこともできなくなり、こんな自分は高校へ復学も難しいなのでこの大学病院で働かせてほしい回診中教授に就職相談。

無知ゆえ結構本気でした。

回診後、まさ先生は教授に対して辛辣な言葉に加え「大学病院やめるから」の言葉に激しく動揺、「まさ先生、大学病院やめてどうするの~?」

第26話 予言より怖い現実

予言より怖い現実
産科と間違うなよ
法一っぽい
カッコよすぎ
ふりかえってみて

ノストラダムスの大予言とは1980年代に話題になった、核戦争、自然災害、公害問題、宇宙人襲来など人類滅亡説。

学校で友人達とキャーキャー騒ぎながら本気で怖がっていた人類滅亡より、月2回、病棟に届けられる請求書の金額の方が恐ろしい。

父に「お金大丈夫?」と聞くと「心配いらない」もう2度と言うなという空気。所詮子どもという立場、両親が家の売却まで考えていることは気付きません。

母の腹部にあるベーコンの脂身の部分のようなテカテカした筋、幼少の頃、痛くないのと聞いたら、お腹が大きくなるとできると教えてくれた、その同じモノが16歳でできてしまったことに大ショック!

まさ先生に産科行くなよとからかわれながら放射線科へ。全身照射のため身体のあちらこちらに赤いバッテン印を付けられた姿にお経を書かれた耳なし芳一みたいとひとり笑い。甘いマスクのかっこいい技師さんに一瞬でときめき、心を高鳴らせながら放射線治療が始まります。

第25話 ヒカルアタマカイ

ヒカルアタマカイ
あれっ?
違い
プレゼントの代わりに
しぃちゃん
ふりかえってみて

家でお正月を過ごし病院へ戻ると、しいちゃんとひとくんがおしゃべり中。

しいちゃんは将来は公用語が英語の国で暮らす目標を持ち、中学卒業後カナダに留学、糖尿病を発症して帰国。ひとくんはいわゆる非行少年、今まで家族に迷惑かけたので、病気が治ったら母親の八百屋を手伝うと話していました。

同じ年というだけで、他に共通するものがない2人。

ひとくんの思いは届かず、、、

そぉっとお姉さんに伝え終わった時、病気と違った気苦労を感じずにはいられませんでした。

しいちゃんとは10年以上文通を続け、最後の方はエアメール用のレターセットで文通となりました。

しいちゃんがくれた「ノストラダムスの大予言」の本。入院してからというもの、滅亡説の予言より怖いことが月に2度必ず起こっていましたが口に出すことができません。


それは次回に

第24話 人生初の鍋パーティー

人生初の鍋パーティー
サンタより
0号の噂
ウジウジ
大晦日
ふりかえってみて

109話のお見合い話、看護師さんの部屋でクリスマス鍋パーティー。

病院で見られない年相応のお姉さん達のような感覚がとても新鮮、ボン・ジョヴィで大盛り上がり!

その頃は気が付きませんでしたが、自分の知らない所で医師と相談しながら計画してくれたと思うと感謝しかありません。

最高のクリスマスを過ごし寝静まる病室に戻ると看護師さん達からのプレゼントが置いてありました。

ナースステーションから一番近い通称0号(ゼロゴウ)と呼ばれる個室に運ばれると2度と大部屋に戻ってこられないという噂があり、音楽室のベートーヴェンの肖像画が夜中になると笑うといった類の病院版噂話、何番目のトイレは入ってはいけないなど入院生活が長くなると耳にしたものです。

外泊可能な患者が病棟から少なくなる暮れ、年末まで担当のたけ先生の恋愛事情を聞き終わり、初めての外泊。

家に来てくれた友人に偏差値高め君が見舞いきたことを伝えるとなぜか「彼と絶対結婚しないと約束!」と指切りげんまんを強要され笑いながらこの友情が一生続くことを願いましたが、謎の指切りの理由を聞く術が今はありません。

夕食後、夜は静かに自室で過ごしました。

=日記より=

1986年12月31日(水)
レコ大(レコード大賞)は明菜ちゃん、聖子ちゃん
新人賞は少年隊

カツラ洗った
あっという間の1年、無駄に過ごしていなかったと思います。
この1年で自分が成長したと思っている。
自分なりにだけど、、、
感謝している人、たくさんいます。
いい出会いたくさんありました。
失ったものより得たものはもっとあると信じています。
もう少しで86年終わります。

20:50

第23話 クリスマスイヴ

3日3時間
どちらも限界
男性とか乙女座とか
クリスマスイヴ
クリスマスだー
ふりかえってみて

いっぱいいっぱいのひろ先生

翌日、点滴が取れた後、ひろ先生が点滴棒をガラガラ引きながら病室に!医師が点滴を受けながら患者を診るなんて入院経験の中でこの1度だけです。

連載のことを報告がてら久しぶりにひろ先生にメールを送りました。

「当時のことをリアルに思い出しています」「今でも経験が浅く、、」と
院長になられても、変わらず謙虚に患者さんと向き合う医師です。

まだ珍しかった、男性で看護師を目指すWさん。

「看護師になっても希望は叶わずどうせ力を必要とする科に配属されるんだ」と自虐的な話題ばかりでみんなで大笑い。夕方は何かの話から「俺、乙女座だけど」と同級生。「えー見えない!ってこれは自分勝手なイメージ!
Wさんのことだって、話してみたらあんなに嫌だったのが信じられない。Wさん、乙女座くんごめんなさい。この気持ちは忘れないように日記に綴り。。

翌日はクリスマス

まさ先生と笑い合う様子に「まさ先生の笑った顔初めて見た!」と看護師さん達。頼りなさげな、たけ先生(勝手なイメージ!)に少し不安、忙しい1日で寂しさなんて感じていなかった。

が、、年に1度しか出番のないうっすらと模様のついたお皿に、冷え冷えのチキンとパサパサのスポンジのショートケーキ。季節感のない入院患者のためにクリスマスを演出した夕食が、かえってザラついた物悲しい気持ちに。

そこに師長さん登場。4人部屋で同室の患者さんが同時に2人退院、しかも世間はクリスマス。きっと心配して様子を見に来られたのでは。

ところが「入院した日になんで、何階建てに住んでいるとか、寝るのは布団とベッドとちらかとか聞くのですか?」「看護師になって良かったことは」など質問ばかりしてしまいました。

第22話 バラが好きになった理由

挙動不審
バラが好きになった理由
やめないで
帰省したら
顔色悪いけど
ふりかえってみて

面会時間だけでもウィックをつける決心をしました。

その日面会に来られたのは中学3年の時の担任。

ドがつくほど真面目な先生のロマンチックな言葉にビックリするやら恥ずかしいやら!その日がきっかけでバラが好きになったことは数年前先生にお伝えすることができました。

現状を知らないがゆえ、クリスマス会の日まで、ある程度病気自体を治してしまおうと治療中断を拒否。

37.5分以下は平熱と捉え逆流しても点滴を刺し変えて、吐いてもなるべく食べて、いい検査結果を出したい!頑張るというより、クリスマス会という目標を果たすため気迫がザブサブ溢れすぎていたようです。

看護師さん達からは帰省の話をチラホラ聞く時期になり、地元のお土産買ってくるねの言葉に、同室の患者さん達からは

「何よアンタだけ!」という妬みはなく「よかったね、楽しみだね」と、こどもとして扱われていました。ちょっと大人のお見合い話を聞いたり、、、

後で知りましたが、この頃、病状は良い方向へと向かっていませんでした。

そんな時、明らかに憔悴したひろ先生が!!