第16話 今は病人として生きる

選んだ
負けるが勝ち
今は病人として生きる
ランク付け
ふりかえってみて

76から79は1日の出来事になります。

ベランダに出ても病室に戻る自信はありましたが、一瞬でも魔がさした時、それに動じず、誰のためでもなく自分自身で生きる事を選んだという証拠が欲しかった。


実行中、食事を運んでくれる補佐さんに見られ、当時流行っていた同世代の少女が周りから虐げられ次々と降りかかる苦難を越えようとするドラマと被り「悲劇のヒロインぶっている」と思われた!?と急に恥ずかしく感じアッサリとこっちに戻りました。

周囲の優しさを受け入れられない自分。全てに負けたような気持ちをアキさんに話します。


「負けるが勝ちってこともあるよ」という言葉が理解できず、

「勝ったら負けた自分がいるって事なのかな?よく分からない」

と日記に書きます。

それはきっと「今の(弱い)(傷ついた)自分を認める」ということ。と、解釈できたのは40歳過ぎのある日の夕方、運転中の時でした。

青春代は3万円!まさか買ってくれるとは!売れませんでしたが、白い巨塔の圧も気にならず、こんな会話ができるようになります。

回診後面会お断りの中、全く想定していなかった同級生が面会に。その男子2人が帰った後、待ってましたとワクワクした空気が流れ、偏差値に差がありすぎて友達ではないと説明し、今度は私から今の旦那さんとどうやって知り合ったか質問したり、恋の話に盛り上がります。

この816号室が「今の日常」と少し割り切れるようになりました。しかし安楽の時間は1日も続かないのでした。